生産者のプライドを届けたい
【北海道の大自然】
私が暮らす北海道は日本の中で最も北に位置し、国土の約20%以上の大きさを誇ります。
これは、ちょうどオーストラリアとほぼ同じくらいの大きさ。
とても大きいですよね。
ただ大きいだけではなく、季節によって様々な表情をみせてくれるのも北海道です。
・夏 ~ 日本総面積の1/5を占める広大な自然が一斉に活性し、溢れる恵みを残すところなく山に、海に、作物にエネルギーを分け与えます。
・秋 ~ 作物に多くの実りを与え、一年のなかで最も美味しいもので溢れる季節です。
・冬 ~ 気温がマイナス30度を下回るところもあり、豪雪地帯では積雪が3mを越えるところも珍しくありません。
・春 ~ あれだけ降り積もっていた雪が溶け、山里には新緑の芽が息吹き始めます。
【北海道は昆布王国】
そんな北海道の特産品と言えば、ジャガイモやトウモロコシなどの畑の作物の他、カニや鮭などの魚介類が有名です。
中でも、日本産シェアの90%以上を誇る昆布は、北海道が世界に誇る食材です。
現在、世界には約140種類ほどの昆布とその仲間たちが生息しているといわれていますが、その中でも食用に向くと言われている昆布は、たった10種類ほど。
そのすべてが、ここ北海道とその周辺にしか生息しておりません。
そう、言葉を言い換えれば、北海道は世界で一番美味しい昆布が自生している、唯一の場所なのです。
【生産者の性格がでる昆布】
ひと口に昆布と言っても、利尻昆布や羅臼昆布、日高昆布など、その種類は色々あります。
当然、それぞれに味の違いがあり、用途にも向き不向きがあります。
北海道の昆布だからと言って、すべてが万能に美味しいという訳ではありません。
北海道に昆布生産者は数千人以上いらっしゃいます。
人それぞれに十人十色の性格があり、当然、出来上がった昆布にも十人十色の品質があります。
ウサギとカメの話ではございませんが、せっかちで少々雑な性格の生産者が作った昆布は、やっぱりその性格が品質に現れます。
逆に、のんびりカメ派の性格だと、そのように。
各組合ではそれらのバラつきがないよう一定の基準を設け、検査し、品質の向上を図る努力をされています。
しかし、生産地を訪れれば、よくこんな話を耳にします。
「〇〇さんの昆布は別格だ」。
また、「〇〇さんの昆布には敵わない」などなど。
一定の基準を設けているのに、なぜこんな話が囁かれるのでしょうか?
それは、昆布に人生を懸ける、熱き情熱をもった生産者がいるからなのです。
【誰よりも良い昆布をつくる】
誰よりも品質の良い昆布をつくる。
誰よりも美味しい昆布をつくる。
この「誰よりも」という熱い思いが、一定の基準では治まりきらない、とびきり極上の昆布を生み出す要因になっているのです。
あるとき、そんな彼らには共通点があることに気が付きました。
それは、破天荒な性格であること。
「これで良い」といわれる基準をクリアしているのに、「これではダメだ」と独自のより厳しい基準で判断してしまう。
より厳しい規格で昆布をつくるので、当然出来上がった昆布も、皆の昆布より品質がよい。
ここまで聞いていれば何も問題はないように感じるかもしれないが、難しいのはここからになる。
「一等検」という言葉をご存じだろうか?
「一等検」とは、昆布の品質で一番良いものを指す言葉だが、破天荒な生産者は、この一等検よりも品質の良い昆布をつくる。
しかし、その品質を証明する「特等検」や「最上検」などの等級は存在せず、どれだけ良い昆布をつくっても、一等検として扱われてしまい、値段も一等検と変わらない。
物をつくる仕事をしている方なら想像しやすいかもしれませんが、一番良いものを作ろうとすれば、それよりも品質が劣るものが数倍出来てしまう。
それを二等検とするならば、その二等検のさらに数倍の三等検が存在する。
あたかもそれはピラミットのような三角形をしており、品質の良い一等検はピラミットの頂点であり、その僅かな量しかない。
その一等検より良いものを作るのだから、それはもはや針の穴ほどの量しかできないのである。
昆布を必要とする市場も、そんな極僅かしかない、またいつ出来るか分からない昆布は扱いにくく、そんな微量であれば一等検のなかに混ぜてしまえば良いという話になる。
悪いものが混ざるのは問題があるが、逆で良いのものが混ざるのだから、文句を言う人はいないのである。
しかし、その破天荒な生産者は、魂を注ぎ込み、自分の人生をかけた昆布が他の昆布と同等に扱われるのが気に入らないのだ。
だから、周りから何と言われようと、自分だけの納得いく昆布を作りつづける。
そう「プライド」にかけて。
【丹精込めてつくられる昆布】
生産者は言う。
「分かる人にだけ、分かってもらえれば良い」。
その言葉に、どこか寂しさを感じてしまうのは私だけだろうか、、、
周りとの協調性を求められる日本社会の中では、はみ出ることを悪としてペナルティーを与えられる場合もある。
どんなに良いものを追い求め、作り続けても評価されず、出来上がった昆布は親しい知人に贈ったり、自家消費されてしまう。
本当にこれでよいのだろうか?
昆布は喜んでいるのだろうか?
戦後、焼け野原になった日本をこれだけの経済大国に押し上げたのは、先人たちの血の滲むような努力と苦労の賜物である。
誰よりも良いものを作ろうとする、まじめで勤勉な日本人だからこそ成しえたジャパン・スピリット。
「JAPANプライド」。
あなたに生産者のプライドを届けたい。
そのお手伝いが出来れば幸いです。